カムチャツカ日記(藤原 久司)

2014.6.30

6月14日「出発」

ホテルは山岸さんと同じだったので、一緒に成田空港へと向かう。空港では福田さんと待ち合わせだ。初対面なのでどのような方かと少し不安である。すると、遠方より笑顔の小柄な女性が登場!とても明るく挨拶をしていただき、楽しい調査旅行になりそうだと安心する。福田さんはいきなりトランクの鍵を忘れたとのこと。しかし、同じ間違いは誰にでもあることで、空港内で無事に解錠を行えたようだ。その後、国内最後の食事をと、レストランへ向かう。こんな場所でもラーメンを頼んでしまう自分が情けない。しかし、しばらく食べられないと思うと一層、食べたくなった。 初の海外航空会社。なぜか、キャビンアテンダントの服装が国内移動に使用したバニラエアラインにそっくりであった。これまた、初の機内食。パンが3つにオカズ2品とそこそこのボリュームがある。食後のコーヒーと紅茶が選べるが、頼りないプラスチックコップに並々とそそがれた。道中は3人で雑談しながら、距離も近いことからあっけなくウラジオストクに到着する。

初海外到着にとても興奮する。しかし、ロシアの空港は何か緊張感が漂う。入国審査は一人で受けるため、普段、英語すら話す機会が少ない私には非常に不安であった。受付は笑顔一つ無い女性にあたった。たぶん、サインを書いてと言われたらしく、ローマ字でサインをし、無事に通過する。荷物を受け取るまでは少し時間を要した。無事に出てくるか不安であったが、自分のカバンを見つけて一安心した。日本と違い、出口では荷物番号の照会もあった。それだけ盗難も発生すると言うことか。

空港を出るなり、タクシーの運転手の誘いが凄い。福田さんが事前にバスがあることを調べていてくれたが、何処が乗り場が判然としない。屋外で喫煙中のお兄さんが親切にも教えてくれた。かなり古めのバスに乗り込む。この時期の日本人が物珍しいのもあってか、車内は乗客が親切に話しかけてくれ、日本よりも社交的と感じた。小銭を持ち合わせていなかったため、少し焦った。福田さんにまとめて払っていただいた。

想像より小ぶりなホテルだが、中は非常に立派である。 受付の人は空港に比べると大変に社交的であった。 部屋は禁煙・・・。玄関前には灰皿があり一安心する。

時間も遅いが外はまだ明るかったのでお店探しもかねて少し散歩をする。しかし、ホテルの周りには何も無く、店での買い物はあきらめた。散歩中にはチョウゲンボウ、カササギ、コシアカツバメ、ツバメを見ることができ非常に満足であった。カラ類と思われる声も聞こえたが、姿が見えなかったのは残念であった。植生は北海道に似ており、何故か少しホットした。ダニに付かれながらも散策を堪能してホテルへと戻る。




コシアカツバメ(右)とツバメ(左後ろ)



ツバメ



チョウゲンボウ

夕食が遅かったため、朝食の予約はできなかった。 また、メニューが読めないため、何を食べられるかわからなかったが、そこは福田さん頼みで問題なく注文が完了した。本場ボルシチは味以前に不思議な感動を覚える。ビールもきんきんに冷えていておいしい。食堂でのビールが足りなかったので。部屋でミニバーに挑戦するが、どの様に料金を支払うか理解するのに1時間位悩んだ。しかし、ビール欲求には勝てず、意を決して一番安いロシアビールの缶を空ける。うまい!

ベットは快適であった。洗濯をした後に快適に就寝する。



6月15日「カムチャツカ到着」

5時には起床する。モーニングコールはフロントが直接かけてくるかとドキドキしたが、自動設定らしい。「もしもし?」と出たが、返事は無かった。その後、冷蔵庫の上の水は無料と判断し、コーヒー入れてまったりした時間を過ごす。出発時間が近づいたのでロビーへ行き、ドキドキしながらミニバーの支払いを行う。あっけなくOKが出て、チェックアウトが完了した。他の人を見ていると、ミニバーを使わなかった場合は部屋を確認してOKがでるらしい。予約していたタクシーはヒュンダイのミニバンで快適であった。運転手もそれほど不安を覚える走りはしなかった。

ウラジオストクの空港に入る際は持ち物検査があるらしい。カメラ等をボディーチェック時にはずして脇の箱に入れたが、すべてX線を通す様に指示を受けてやり直す。取りきれない荷物がどんどんX線装置の出口にたまっていくので、同行者のものは手当たり次第に下ろした。食事や土産の店もあり、まさに鮮魚も売っている。さすがロシアと思う。事前に調べていた通り、預ける荷物が荒らされない様にテープでぐるぐる巻きにする有料サービスがあった(300-400p)。パイロットも使うとの事前情報があったのでもちろん一般乗客である我々も挑戦する。作業員は相棒が来なくて大変に気が立っていたようである。客に「早く荷物を置け」、「早く荷物をどけろ」とまくし立てていた。私は早く荷物を避けすぎ、少しキレられた。発見カウンターでは全員の持ち込み荷物を合わせると重量オーバーとなった。何を言っているのかまったくわからず、福田さんが居なければ完全にお手上げだった。福田さんが追加料金を少し離れたカウンターへ払いに行き、無事に完了した。とにかく日本と違い険しい表情をした受付の人が多い。

要望は通らず3人縦並びにバラバラの席に。通路側は少し体格の良い女性、窓側はアジア系?の女性であった。言葉がわからずとにかく不安である。出発直後からトイレに行きたかったが、「すみません通ります」とロシア語で言えない・・・。そして恐怖の機内サービスが始まった。飲み物を適当に指差すと、炭酸水が渡された。トイレに行きたいし、特に必要なかったが、いらないとも言うことができなかった。そして、機内食が始まる。S7と違い、何か温かいものの選択肢がある。何を言っているのかまったくわからないので、素直に解らんとのジェスチャーをする。適当に渡されると甘いパン!窓側の人はパスタを美味しそうに食べており非常に後悔した。そうこうしているうちに、トイレ欲も少しおさまる。そして思ったより時間が経つのが早く、飛行機はカムチャツカ上空へさしかかったようだ。景色を見たいので、窓側の人に「俺も見ているよ」アピールをする。気づいてくれたのか、頭を避け気味にしてくれて、かなり堪能することができた。それにしてもロシアの人は着陸間際まで携帯の電源を切る様子は無く、写真を撮りまくりである。日本人がまじめすぎるのか?

そして、無事に着陸する。空港内には戦闘機も見えるが、さすがに撮影は躊躇してできなかった。停車後は駐機後へ普通に下され短い距離を歩いて空港の外へ。「あれ、荷物は?」と不思議に思ったが、空港の外には建物があり、その中で受け取るらしい。空港には福田さんの知人であるアンドレイさんが迎えに来ていた。パッと見は大人しそうな感じである。英語も少々とのことだったので、トイレに行きたい旨を伝える。少し戸惑い連れて行ってもらったが、公衆トイレらしきものは閉まっている。そこで、ボディーチェックを受けて空港へ入ったが、アンドレイさんは外で待つとのこと。少し恐怖を覚えるが、それどころではなくトイレらしき方向へ直行する。汚いし壊れているトイレも多いが、意を決してすっきりする。外へ出て一服していると、アンドレイさんの友人が現れ、いざ出発だ!友人の車はカルディナ、アンドレイさんの車は古いスターレットだ。スターレットの上にサングラスが・・・。だが、友人には通じることが無く出発してしまう。

友人とはさすがに言葉が通じそうに無い。が、熊の像を見て喜んでいると、近く停めてくれて、「写真を撮りな」とのジェスチャーをしてくれる。喜んで写真を撮る。見た目は少し怖そうだ人だが、非常に良い人だったので安心する。その後、初めての海外の風景に感動しながら、また、日本車の多さにびっくりしながらホテルへ向かう。





ホテルへ到着。昨日のホテルよりかなり年季が入っている。送迎してくれた二名は荷物のほとんどを運んでくれる。フロントの人は思ったより気さくな感じであった。土産売りのおばさんもやさしそう。ひとまず鍵を受け取り部屋へと向かう。が、エレベーターが凄い!けが人が出ないのが不思議なくらい年季が入っており、揺れも凄い。そして部屋へ入ろうとするが、いまいち鍵の開け方がわからない。苦戦していたが、2回転させると開くらしいことに気付き無事に解錠する。部屋は思ったより普通であった。

火山研究所のレーナさんにお会いするため移動する。アンドレイさんはかなりアグレッシブな運転である。そして魔の交差点にさしかかる。なんと、信号待ちで停車したあとスターレットが二度と動かなくなった。どうするのかと思えば、アンドレイさんが外にでて、窓からハンドルを操りながら押している。こちらも手伝おうとしたが、「大丈夫だ」とのことで結局一人で数十メートル押し続けた。このときも「ニチボー(大丈夫)」と言っていたのだろうか?研究所ではレーナさんの研究室で彼氏も交えて5人で雑談(ほぼ福田さんとレーナさん)。アンドレイさんも合流し、すこしレーナさんと話し込む。アンドレイさんが押され気味で少ししんどそうに見えた。最後に北海道土産を渡したところで、日本語が話せる事実が判明!というか北大にいたらしい。変なことを口走らなくてよかった。

福田さんを残し、アンドレイさんと山岸さんと翌日からの買い出しに出かける。正直、会話が成り立たない三人で不安であった。ひとまず、「あれはバスターミナル?」みたいな適当な会話をする。もちろん、バス停だと言われたが、ここからあちこちに出発するんだとも言っていたようだ。その後、頻繁に訪れることになるスーパーへ。カムチャツカを侮っていた。すごく大きいし、品数も豊富である。だが、我々二人は何を買ってよいのか全くわからない。とりあえず、ビールだけは外したくないので直ぐにその旨を伝える。このビールが良いとペットボトル入りのカムチャツカビールを勧められたのでカゴへと投入する。その後、我々はアンドレイさんのスイッチを入れてしまった。スライスチーズを二袋買おうかと山岸さんと悩んでいたところ、アンドレイさんが「そんなに食うのか?」との表情をする。結局、二つとも買ったが、それ以降はアンドレイさんが勧めるものは大概、二つ購入することとなった。さすがにサラミは一本で良いと頑張り通じたが、後に大変美味しいことを知り、二つにしておけば良かったと後悔した。結局、10人は食い繋げそうな量を購入した。レジのおばちゃんは怖い。お金払って貰う袋も投げ捨てる感じで渡される。これがロシアスタイルとあきらめる。

いざ観光へ!と、すぐに難関にぶち当たる。大通りに横断歩道のラインが無いのである。地元の人の真似をすれば良いかと、意を決して横断し、何も恐れることはなかったと安心する。バス停は殺風景なコンクリート造りである。何となく来たバスにのるが、車内は思ったより静かで、それほどじろじろ見られる感じもしない。やはり小銭が無く、結局ここでも福田さんにまとめて払ってもらう。福田さんに建物などの説明をして頂きながらレーニン広場近くで下車する。さ、さむい。薄手の長そでシャツを着ていたが何の用もなさない。ひとまず、ハトの止まり場となっているレーニン像の写真を撮る。近くのモニュメント脇の柵には愛の南京錠らしきものがたくさんある。ヨーロッパらしい光景である。



ペトロ-パヴロの像



愛の南京錠

それにしても寒すぎる。耐えられない。お二人のお情けにより、カフェで休憩させていただくことに。これがびっくりで美味しい羊肉のシャシリクに出会う。鳥も豚もうまかったことから、勝手に名店と判断し、心の食べログに登録する。ビールも合いそうだったが、さすがに初日からは控えてしまった。ここで飲んだコーヒーも飛行機と同じプラスチックコップに入っていた。何か溶け出していそうな感じ。その後、何かの伝説(漁師と嫁さんの話だったような)が残る丘裾の海岸を歩く。が、さすが植物学者の二人である。油断すると崖を上っていく。と言いながら私も吸い寄せられるように後を追う。周りからは奇妙な東洋人と思われたことだろう。「日本人かい?」と日本語で話しかけてきた若者もおり、その時の私には少しだけ怖かった。今思えば、ただフレンドリーな人だったのだろう。周りを見渡すと、ロシア人は写真を撮るのが好きらしいのがわかる。友人や恋人の写真を撮る人が多数いる。日本人も同じだろうと言われればそうだが、モデルさんの様なポーズをする人が多い気がする。これは美男美女が多いからなのか?



カフェ



左手前が絶品の羊肉

時間もかなり遅くなったので、帰路へつく。はて、何かを忘れているような・・・。そうだ、山岸さんのエタノールを買いに来たのだった。が、時すでに遅しである。バスに乗るも少し方向が違ったので途中下車する。相変わらず寒いが、ぶらり散歩しながら帰るのはとても楽しかった。不思議なことに通りには同じような花屋が9件並んでいた。並んでいる必要があったのかは今も疑問であるが、最近は花を贈るのもはやっているらしい。その後、陸海空の兵士の顔が三面についた銅像を見る。何か意味がありそうだがわからない。教えてもらったのだが、忘れてしまったのかもしれない。その脇にはセブンイレブンンの文字がうっすら見える中古車と奈良県の業者の中古車が売られている。面白い光景である。寒い中の散歩を終え、無事にホテルへ到着する。それにしても、ロシアでは横断者がいると車が止まってくれる仕組みらしい。そこそこの大きな通りでも同様であった。



ホテルへの帰り道



並んだ花屋

レストランは深夜まで営業している。メニューにロシア料理らしいものが少なくパスタとビールを頼む。パスタはうまい。ビールはぬるいがロシアでは普通らしい。このほか、リンゴとセロリに砂糖がかかったものを食す。デザートなのか?

部屋に戻り、カムチャツカビールを二本飲む。うまい!テレビは何を言っているのか不明だが、日本車ばかりの中古車販売番組は意外と面白かった。日本で買うより高そうである。関税の問題か?



ホテルの窓から




6月16日「アパチャ峠」

朝はまさかのバイキング。やや品数は少ないが、ロシアらしい料理もあり選ぶのに困る。何を食べたかはっきりとは覚えていないが、メンチカツの様なものがうまかった。やたらハイヒールの音を響かせてウエイトレスが闊歩している。

福田さんが打ち合わせに向かうので、午前中に余裕がある山岸さんと私は意を決してメドヴェジエ湖へ散歩に行くことにする。すぐに小さなかわいい野良犬が現れ、先導してくれる。なぜか片方の耳だけが垂れている。それにしても不思議とロシアの犬は吠えたり、餌をねだる様な仕草をしない。暴れん坊は淘汰されてしまうのであろうか?しばらく一緒に散歩?をした後に犬は住宅街へと消えていく。もしかすると放し飼いの犬だったのか?




道路工事現場脇の湿地でタカネスミレ?を見つける。山岸さん曰く、道内では局所的にしか生育していないらしい。私は以前から見たいと思っていたフサスギナに出会えたことが非常に嬉しかった。これまた道内では局所的にしか生育しない種である。その他にも多くの湿性植物が生育しており、非常に良い環境であった。鳥類ではアカマシコやマミジロツメナガセキレイなど初めて見るものに感動する。アカマシコは想定していなかったため、はじめは変なオオマシコでごまかしていた。それにしてもメボソムシクイの類の声があちこちで聞こえるが、姿を見ることができない。その他はハシボソガラスやオオセグロカモメ、スズメ程度であり、湖にもかかわらずカモ類は一切見られなかった。湖畔の道路脇には高層湿原も広がるが、周辺の工事車両の多さを見ると、そのうち宅地になるのだろうか?その後、反対の湖畔を帰路につくが、あやしい宗教施設に行きつく。怖いので、迂回すると無事にホテルへ辿り着いた。結局の所、人に出会うこともなく、特に不安な局面は無かった。気の知れた友人と一緒だったことも安心感につながったのであろう。さすがに一人であったならば、宿を出てすぐに引き返したかもしれない・・。



シベリアツメナガセキレイ



ノゴマ





アカマシコ


宿に戻るとアンドレイさんとセミョーンさんがすでに待っていた。ロシア人は思ったよりも時間に正確らしい。むしろ、予定よりも早く到着していたのであろう。本日からの移動車両はランクル80のバンタイプである。吸気口が屋根の上にあり、かなりリフトアップしていることから川の渡渉も意識した改造なのであろう。後に知ったがタイヤの空気圧も自由に調整できるように改造してあるらしい。後部座席に3人であったが、みんな細い体型なのでまったく問題なし。むしろ、学生の頃の様な懐かしい楽しさも蘇る。さあ、アパチャへ向かいいざ出発である。

途中、古新聞をもらいに商店を訪れるが、無かった様である。すでに植物学者が持って行ったと言われて驚いたが、ロシアジョークだったようである。私は人に冗談を言ってだますのが好きだが、同時に自分自身も騙されやすい人間であると再認識する。

郵便局で古新聞がもらえるとのことで小さな集落へ行くが、残念ながら郵便局は休みであった。ロシアでは平日にも閉局日があるようだ。車への帰路で給水塔やイエスズメを見る。その時は変なスズメと思ったが、帰国して詳しい人に聞き別種と判明した。その後、パンを買うらしく商店へむかう。ロシアの商店では直接商品を手に取ることができない様である。何か飲み物を買った気もするが、記憶が定かではない・・。



イエスズメ

ただひたすら、広大なロシアの景色を見ながら移動する。

トイレ休憩で小さな商店街に停車する。トイレを覗く犬がおり、なんとスケベなやつだと思ったのだが、有料トイレのため中に集金のおばちゃんがいたからだと気づく。おそるおそる入ると、中の人に料金を手渡すだけの単純な仕組みであった。もちろんトイレはお粗末なものである。その後、商店で冷蔵庫から飲み物を買おうとするが開かない。おばちゃんが何か言っているが不明なので、さらに開けようと努力する。あきらめたおばちゃんが出てきたのでスプライトがほしいとジェスチャーで示す。取り出してくれるのかと思いきや、店内からややぬるい商品を出してくれた。外冷蔵庫は、奥に置く商品を冷やすための様である。駐車場ではパンク修理をする家族がいた。パンク修理といっても力技であり、ホイールとタイヤを外そうと何かで叩き続けている。結局、私たちが滞在していた間には直らなかった様である。






北上する道と西へ向かう道の分岐へ。北上の道路はどうだったか覚えていないが、我々が進む西へと向かう道は砂利道であった。とは言っても広さは日本の国道くらいある。

宿泊施設に到着する。大きなハスキー犬が2頭現れる。大きさに驚いたが、一切吠えることもなく大人しいので一安心した。その後、受付に行くが、忙しいらしくパスポートチェックも無く、小屋の鍵を受け取る。小屋付近までは車で行くことができるが、せっかくなので犬と一緒に車の後ろを歩いて向かう。小屋は小さ目でやや古いがトイレやシャワー、流し台、ベット4つ、テーブル、椅子などと一通りの装備がある。









到着するなり、アンドレイさんが昼食の準備を始める。パンにコーン、魚の缶詰と手軽に食べられるものである。ここでサラミの登場である。非常にうまい。やはり2個買っておくべきだったと後悔する。食後にはデザートと思われるウェハースが配られる。これは半強制である。

さて早速、調査地へと移動する。先ほど来た砂利道を少し引き返し、脇道へと入る。かなりワクワクしてきた。

ところが直ぐに林道がロープで通行止めにされている。脇に小屋があるのでセミョーンが様子を伺いに行く。車もなく無人かと思ったが、おじいさんが現れる。しばらく話し込んだ後に、ロープを外してくれた。話によると、最近は3頭のクマがうろうろしているとのこと。カムチャツカはヒグマの宝庫である。その程度で通行を規制するところは観光地であるためか?

移動しながら林道脇の様子を見ると、かなり植物の生育が進んでいるように思える。途中に降車してみると、やはり早春からは程遠い。とりあえず標高を稼ぐために林道を進む。

標高500m付近で再び降車して調査を行うことに。峠のてっぺんらしき場所でかなり景色が良い。念のためクマスプレーを貰おうとしたが、なんと準備されていたのはスポーツ観戦用の発煙筒である。これまでの知識からクマには一切の効果が無いと感じるが、一応携行する。アンドレイさんらは鉄塔がある高台へ向かうとのこと。しばらく見ていると、雪渓が邪魔で戸惑っている模様。車を前後させながら何とか通過し、頂上へ消えていった。我々3人は林道周辺でエンゴサク探し。すぐに湿地状の環境で見つけることができて一安心であった。山岸さんと福田さんが調査をしている間、周辺にも無いか散策をする。他には見られなかったが、絶景やアカマシコ、ケアシノスリなどを堪能しながら散策を行う。








アカマシコ



ハクセキレイ


その後、二人の元に戻る途中、車で向かってきたセミョーンが何かを手に持っている。言葉はわからないが、この植物があった、もしくは何だと聞いているもよう。図鑑でオオバナノエンレイソウだと伝えると、向こうに沢山生えていたとのような仕草。我々の調査を気遣って教えてくれたようだ。

調査地の周辺をうろうろしていると、ブッシュの下を何か小さい動物が走り回っている。明らかにはできなかったが、撮影した動画を見るとヤチネズミ類のような・・。ムクゲネズミだろうか?さらに散策しながら、北海道でいう高山植物を堪能する。散策が終わるころ、林道上でヒグマの足跡を発見。とても小さくてやや拍子抜けしたが、カムチャツカ初の痕跡である。その後、アイヌタチツボスミレを撮影し、記念写真を撮影したのちに帰路へとつく。



ヒグマの足跡


帰路では中規模の河川脇で再び調査対象が見つかる。川岸ではシベリアイワブキらしきものも見つかり、福田さんが大喜びする。融雪でかなりの流量がある河川である。セミョーンに身振り手振りで車で渡れるかと聞くと、問題ないとの返答であった。自分が乗っていないのなら、渡るところを見てみたかった。さらに移動して大河川にたどり着く。冗談だとは思うがセミョーンらが渡れるか様子を見ている。渡ると言ったら降りようと心の中で思う。さすがに渡ることを断念して移動すると、広大な牧草地的なところへ着く。よく見るとワタスゲ等が生えており、高層湿原であった。しばらく植物観察を楽しむと、いつか見たいと思っていたエゾゴゼンタチバナに出会う。北海道でもある場所にはあるものだが、一度も見たことがなかったので感動した。





車で渡れなかった川



ワタスゲ湿原



エゾゴゼンタチバナ



帰路途中で大河川を渡る。さっきの河川の続きと思われる。湖面に浮かぶカモを見つけ、何かレアな種と思い撮影を行う。しかし、北海道では冬に普通種であるスズガモであった。冷静さを失うと、なんとかレアな種類にしようとする悪い癖が出てしまった。その最中に奥を何か大きな猛禽が飛翔する。オオワシだ!間違いない。これも北海道の冬には普通であるが、繁殖地で見ると感動が増す!周りが青々としている中のオオワシ。北海道では見ることができない光景に感動する。




繁殖地!のオオワシ


小屋に戻り、夕食となる。アンドレイのテンションが明らかに高い。二人はサンプル整理に忙しいので、私もテンションをあげてアンドレイにつきあう。歌ったり、よくわからない事を身振り手振りで表現したり、明らかに昼間と違う。パスタを茹でているようで、そこへ私の大好きな羊の缶詰やニンニク、トウガラシなどを投入してく。準備がでいていざ実食。とてもうまい。環境も左右しているだろうが、羊好きにはたまらない味である。夕食でも強制デザート。なにか子供の絵がついた、地元で有名なチョコレートを食べる。その後、アンドレイとセミョーンは温泉に行くとのこと。山岸さんがサンプル処理中なので後で行くと伝えると、場所を教えてやるからついてこいとのこと。受付がある脇が温泉と知り、サンプル処理終了を待つ。その間に二人が温泉から戻り、早々に就寝する。セミョーンは車で就寝するとのこと。ベッドが一つ余っていたが、ドライバーのためゆっくりと眠りたかったのであろう。

その後、山岸さんのサンプル処理が終わったので、いざ温泉へ。すっかり暗闇であるが、先ほど教えてもらった道をたどる。途中に番犬と遭遇するが、やはり一切吠えない。顔を認識しているのか?温泉の扉を開けると、手前に一人いるのが見える。こちらは二人なので少し心強くなり、水着に着替えてすぐに湯船につかる。深さは立てるほどあり、いたるところがぬるぬるしている。何か浮かんでいるものも見えるが、湯の花と思い込むこととする。入るなり、先客が話し掛けてくる。や、やばい。と、思ったが、英語でどこからきたのか?と聞かれて少し安心する。話を聞くと、昔、船舶関係で富山へも行ったことがあるロシア人であった。アパチャへは釣りで来たようだが、釣果は今一だったとのこと。過去に来た際はかなり大きな魚をつったとのこと。山岸さんがこちらの調査の内容を伝えるが、お互いに英語圏で無いため、少し苦戦する。確かに植物を調査といっても、現地の人は良く理解できないのであろう。それから万能の日本車話等で話を何とか盛り上げる。その人は20分つかるのが良い的な事をいっており、その時間がきたから上がるといって出て行った。明らかに水着は着用しておらず、少しびっくりした。考えてみると、こんなに長時間、外国の方と話をしたことが無かったので良い経験であった。それにしても、話せないはずの英語も何とか通じるものであり驚いた。これまでの20数年間も無駄ではなかったようである。その後、平泳ぎ等で遊んだ後に温泉を出る。番犬が小屋まで案内するかの様に先導してくれたが、最後は間違って隣の小屋へ行ってしまった。さすがに深夜であり眠い。歯磨きを行い就寝する。


6月17日「ヴィリューチンスキー峠」

起床し、朝食を食べる。その後、小屋の周りを少し散策し、オオバタチツボスミレを見つける。ワタリガラスも一羽が飛んでいくが、一瞬であり撮影することはできなかった。小屋で帰りの手続きをするが、最後までパスポートを見せることが無かった。その後、受付がある建物の前で集合写真を撮る。ニューヨークまで3000キロ的な看板があり、どこの国も考えることは一緒と思う。出発直前に気になっていたランクルの塗装についてセミョーンに聞く。凸凹している理由は、草木で傷をつけにくくするための様である。自分で塗装したとのことで凄い。

福田さんの調査で林道脇を散策するが対象は見つからず。大河川沿いの河畔林を散策する。

帰路の国道?沿いでしばらく散策を行う。その隙にアンドレイさんらが古本を燃やしだす。びっくりするが、すぐにロシアではこんなものだろうとの結論に至る。往来する車の中には爆走しているものも多く、道路わきにお墓が多いことも納得がいく。

途中の商店でパンを買う。露店では服も売っており、福田さんが帽子が無いか聞くも、無いとの返答。まったく出番がない雨用の帽子を使ってもらうことにする。

登山口と思われる場所で昼食をいただく。パン、コーン、魚の缶詰等でありが、おいしい。アンドレイさんらは暑さのためか上半身裸である。確かに、北国とは思えないほど暑い。登山口付近の木には布きれが沢山巻きつけてある。何かのお祈りなのであろうか。





その後、どんどんと山奥へ入っていく。絶景が広がるがここで少し意識を失う。さすがに緊張からの疲れがたまっていたのか。再び意識を取り戻すと、なんとも素晴らしい残雪の山々が広がっている。かなり標高が上がったようである。ザックを背負った集団を目撃する。とても本日中に峠は越えられないだろう。キャンプでもするのだろうか。その後、さらに標高をあげ、峠の頂上に到着する。凄い景色である。景観としては大雪山に近いが規模が違う!







高山植物を観察する。そこで高山植物では無いが、フサスギナを再び目撃して喜ぶ。アンドレイらは相変わらず上半身裸であり、ロシア人はつくづく日光浴が好きなのだと思う。道路では大きなブルドーザーが除雪を行っている。聞くと、冬も通行可能とのこと。驚きである。車へ戻るとトランクのドアに何かが置いてある。キバナシャクナゲだ!しかも根元から。さすがロシアの人は豪快である。



フサスギナの胞子体



キバナシャクナゲ





その後、来た道を引き返す。途中、絶景ポイントで写真撮影等を行う。何か小鳥が!と追いかけると、カシラダカである。繁殖地で見たことに少し感動する。セミョーンさんはしきりに車のタイヤを気にしている。空気を出し入れする装置に不具合があるそうだ。少し不安であったが、車は問題なく走行していた。



カシラダカ


黄色いスミレがあったとの場所を散策するが、見間違えであった模様。高山地帯であるがとにかく暑い。途中で観光客らしき集団がマイクロバスで現れる。バスでこのような絶景ポイントに来られるのはうらやましい。自然と観光のバランスについて改めて考え込んでしまった。

数か所で空振ったのちに、別のポイントを散策する。あ、あった!エンゴサクである。これで一安心と周囲を散策すると、ヒグマと思わしき食痕が。その後、サンプリングやシベリアイワブキ観察等を楽しむ。福田さんらが散策を続けているので、どこかに落としたらしい煙草を探してうろうろする。その最中、新しいヒグマの糞を発見する、他にも小ぶりなものもあり、少し恐怖を覚える。とにかく、周囲の警戒を続け、出現時には二人に伝えられるよう備える。実際でたら、出た〜と大声を出すしか出来ないのだが・・・。その後、二人と合流して車へと戻る。



コガラ


車が発車すると間もなく、急に減速する。前方の二人が何かを言っている。ロシア語がわからない私でも何かあったとわかる。ヒグマだ!しかも親子連れ。カメラを構えるが、車の揺れが激しくうまく撮影できない。プリーズストップと言っても、車はどんどん進んで行く。私たちにもっと近くで見せたかったのであろう。サービス精神としては、非常に嬉しい。その後、何とか証拠写真を撮影し、ヒグマは林内へ。と思った瞬間、もう一頭の小熊が横断していった。合計、4頭であったが、おそらく昨年生まれであろうとのこと。もしかしたら、調査地周辺の個体が我々を嫌って移動していたのか。そう思うと温厚な個体で良かったと思う。さすがに小熊でも向かってこられたら勝てなかったであろう。









ヒグマ以外の野生動物として、キタキツネに会う。しかし観光キツネの様であり、少し残念。

一日ぶりにホテルへ戻る。ここで二日間お世話になったセミョーンとお別れ。早く部屋でのんびりと思ったが、一昨日よりも高い部屋しか無いとのこと。福田さんが毅然と交渉を続け、どうにか当初通りの値段となった。しかし、予約して荷物も預けていたのに部屋が無い。日本との違いに只々驚くのみである。福田さんがいなかったら、一巻の終わりであった。

折角なので福田さんの部屋で食事をすることに。惣菜や海苔巻などはいずれもおいしい。私のみビールを飲むが、アルコールが強いわりには泥酔することもなかった。ホテルに自販機は無いが、4階に夜間も営業する売店があるとのこと。福田さんは紅茶を購入しにいった。どういう売店か気になる。

寝る前にもビールを一本のむ。テレビは相変わらず何を言っているのかわからず、中古車番組だけが友達となる。


6月18日「アヴァチャ村」

食堂でバイキング。少し内容も変化しており、安心する。近くの席では日本人男性らしき人が食事をしている。

福田さんも交えて湖畔へ散歩に向かう。二人と離れて歩いていると、二頭の大きな犬が向かってきて、覚悟を決める。が、その後ろから飼い主が現れて少しホッとする。遠方から眺めているととても大人しそうな犬で一安心した。飼い主が湖に枝を投げると、嬉しそうに飛び込み、奪い合っている。その後、メボソムシクイの撮影を試みるも、まったく撮影できず。すばしっこい。アカマシコは相変わらず簡単に撮影できるが、雌柄でも囀っており、不思議である。毛替わりが遅いのであろうか?

アンドレイさんと合流する。ロシアの人は時間に正しいのか、予定よりも早く到着している。ロビーで山岸さんを待っていると、朝食で見かけた日本人男性らしい人が話し掛けてきた。やはり日本人で正解だった。

河口に到着する。ロシアのバスをアンドレイさんに教えてもらう。廃車であり、現在はロシア製のバスは運航していないとのこと。河岸には相変わらずの野良犬。泥の中に口を突っ込んで何か探している。その後、アンドレイさんに近づくのを見ていると、口先が真っ黒でかわいいいと気付く。その様な柄かと思ったが、泥がきれいに付着していたようである。周辺は思ったよりも鳥が少なくがっかりするが、エゾゴゼンタチバナやエゾツルキンバイ等を見て少し嬉しくなる。ユリカモメを見ていると何か魚をくわえている。いるわけも無いがアジの様に見える。写真を拡大してみると、イトヨと思われる。久しぶりに巨大なイトヨを見てさらに嬉しくなる。








待ちに待った昼食。今日も羊肉である。アンドレイさん曰く、最もおいしい店とのこと。確かにうまい。店に居つく猫がいるものの、肉以外を食べないとこのこと。まさかと思いパンを与えると、匂いを嗅いだ瞬間に逃げ出した。本当に肉以外を食べないようであり驚いた。





少し川を遡り、再び調査へ。車から降りようとした瞬間、大きなシェパードが目に入り驚く。しかし、本日までの経験でカムチャツカの犬が大人しいとの考えが刷り込まれ、平然と車を降りる。案の定、見た目に反してとても大人しい犬であった。川沿いを歩くが、目的の植物が見つからない、動物もヨツボシトンボとモノアラガイくらいしか目に入らない。車に戻りシェパードを見ていると、暇なのか日光浴する飼い主の元へ。なんだか微笑ましい光景だ。



ヨツボシトンボ





民地らしき場所へ行き、干潟等を眺める。アンドレイさんは廃屋も好きらしく、写真を撮影している。 集合住宅裏へ向かう。サッカーコートと思わしき場所へ入り、何を思ったかアンドレイさんが車をゴールへ駐車する。なかなかぶっ飛んだ人だと再認識する。車を降りると子供が近づいてきてアンドレイさんと何か話している。会話は以下の内容であったようだ。

子供:ここに車を止めるのか?
アン:どうしてだ?サッカーするのか?
子供:別にしないけど。
アン:じゃあいいだろう(笑)

脇の林を散策するもゴミだらけで何も見当たらず。とにかくロシアはゴミが多く驚く。






軍施設脇を通り、少し先の林を散策する。山岸さんがツグミ類の鳥を見つけるも私は撮影できず。戻る際に軍施設の写真を撮るも、ビビッてまともな写真は撮れなかった。


湖付近の道路を走る。相当な観光地なのかローラーがついたスキーに乗る人や自転車に乗る人が多い。それにしてもアンドレイさんは相変わらずアグレッシブな運転をする。他の車には容赦なくクラクションも鳴らす。湖畔に移動するとエンレイソウを発見し、調査を始める。途中から私はアンドレイさんのスマホ写真攻撃にあい、一時間近く、車などの面白写真を眺める。写真の中に車のプラモデルが沢山あり、アンドレイさんの趣味が少しわかる。とにかく車が好きなのである。特に古い日本車にかなりの愛着がありそうだ。そうこうしているうちに二人が戻り移動する。


その後、小川脇に調査地を見つける。やたら茎の長いエンレイソウがあるが塊茎は小さく驚く。ここにもシベリアイワブキが可憐な花を咲かせていた。


晩御飯の買い出しでスーパーへ。惣菜パンを選ぶ。やはりピロシキであろうと、らしいものを選ぶ。私の好きなケーキコーナーで悩んでいると、アンドレイさんが間髪入れず大量のシュークリームの様なケーキが入ったものをカゴに入れる。何かわからないが、ロシアの甘いものでそれほど酷いものはないとの認識で従う。その後、私しか飲まないビールを数本購入する。福田さん方は海藻のパック詰めらしきものをカゴに入れている。考えれば、アンドレイさんも以前に勧めていたものである。今回もアンドレイさんが入れたのか?レジは若い女性でこれまでよりも丁寧な対応を期待する。しかし、相変わらずであった。しかも、海藻は値段がはがれているとのことで強制却下。売ることよりも効率を重視するようである。


夕食は再び福田さんの部屋で。植物の簡易同定を行いながら食事をする。惣菜パン等、すべておいしい。これだけの標本を整理していたのかと、感心する。専門家2人の前なので、ビールを飲みながら同定作業を見守る。 中古車番組を見ながら就寝する。

6月19日「ミシェンナヤ山、海岸・・・」

食堂でいつものバイキング。その途中で前日の朝に会った日本人の男性が話し掛けてくる。話を聞くと現地企業?にお願いされて経営コンサルに来ているようだ。今回は通訳付きの下見だが、次回以降は一人で来るそうで少し不安とのこと。福田さんを通訳にと勧めたい心境であった。しばし雑談をして席を立つ。


福田さんを火山研究所に残し、アンドレイさんと山岸さん、そして私の3人でドライブへ。ついにロシア語のわからない2人だけになってしまった。不安も大きかったが、ここ数日間で少し心が通じたことと、私たちのつたない英語力を信じていざ出発。


見晴山らしきところに到着する。道中の荒れた林道からは想像もつかないくらい良い場所である。本来は街並みを見下ろせるようであるが、本日は雲海である。遠方に名も知らぬ山がそびえており、これもまた絶景である。木道を少し歩くとお花畑が広がる。これまで見た種がほとんどだが、数も多く感動する。しばらく観察したのちに車へと戻る。そこでアンドレイさんが驚きの行動にでる。なんと、クマ避けとして持ち歩いていた発煙筒に着火、その横には火気厳禁のマークが。本当に自由奔放である。俺の車と一緒に撮れと言ったが、車に近づいた付近で火が耐える。その後、降りながら景色や車を撮影する。










その後、どこかへ向かう。見晴山以外に想定していなかったので少し焦る。しかもどんどん山奥へと向かっていく。今日がアンドレイさんとの初対面の日であったら、どこかで逃げ出したかもしれない(笑)。砂利道を爆走しながらたどり着いたのは海岸であった。どうやら海を見せたかったようである。原生花園的な場所であるが、花には少し早い様である。しかし、数少ない花も北海道では珍しく、楽しむことができた。









帰路で小さな村の商店に寄る。昼食を買いたかった様だが、ついでに土産の購入を試みる。カップめんに近づこうと奥の通路に向かうと、入ってはいけないとのことであった。ロシアの商店では勝手に商品に近づいてはいけないことをすっかり忘れていた。身振り手振りで何とか3種のカップめんを買う。今思うとなぜにカップめんだったのか・・・。


こちらが所望した本屋へ向かう。しかし、期待した鳥類図鑑は見当たらず。植物も山菜が主のようである。少なくともカムチャツカには図鑑類が存在しないようである。そこで今更ながら詳細地図を購入する。他にも山岸さんが見つけた土産になりそうな野生動物写真が表紙のノートを買う。


福田さんと合流してだいぶ安心する。 どこかの研究機関に到着する。専門家では無い私には話の一部しか理解できなかったが、新鮮な気持ちで耳を傾ける。


待ちに待った羊肉。が、山岸さんのがいっこうに来ない。途中で店員のお姉さんがまだ時間がかかるが大丈夫かと聞きにくる。もちろん今からでも食べると伝えてもらう。今まで3店舗で食べたが、いずれもおいしい。たしかに2件目が一番量と質が良かったとも思う。食堂脇の木には何か白いものが塗られている。虫よけとの記憶があるが、何を塗っていたかは忘れてしまった。


また福田さんと別行動。


スーパーへ行き、土産物を物色する。食品レジの人よりは格段に愛想が良い。鳥の人形が何か二人で悩むが結論が出ず。エトピリカやワシは的外れであり、ワタリガラスだったようだ。マグネット写真を見ていると、アンドレイさんが一枚の写真を指し、自分が撮影したと言っているもよう。信用し、記念に一枚購入する。キツネも勧められたが、さすがにインパクトが低いので購入に至らず。あとは親に頼まれたマトリョーシカを購入するも、後に二つ目以降が開かないことが判明する。これは帰国してからカッターを駆使して何とか解決。その後、一階の食品売り場で再び、土産を物色する。ひとまず羊の缶詰はたくさん購入したが、大勢に配るものに悩む。アンドレイさんがチョコレートを進めるので信用して購入する。他にも強い押しに負けて、型崩れしそうなチョコレートも購入する。


福田さんの知り合いの家へ出発する。バスは何に乗ってよいかわからないので適当に乗車し、乗り換えする。さすがに帰宅ラッシュなのか混んでいた。無事に降りられるかただただ緊張した。乗換時に待っているとナンバーの無い軽自動車が走行しているのを発見。翌日アンドレイさんにきくと、流石にロシアでも違法とのこと。バスを降りて徒歩で住宅街へ。ロシアらしく良い雰囲気である。夜でも明るいので特に怖さも無い。空手道場の脇を通る。師範が若い生徒と結婚して日本に帰ったと聞いた記憶が残る。





知人宅へ到着する。3階付近の窓から、やさしそうな女性が顔をのぞかせている。集合住宅の玄関にはオートロックらしきものがついている。他でも見かけたものでロシアでは普通らしい。案内され知人宅に入る。日本と同じく玄関では靴を脱いだ。装飾がきれいでまさにイメージ通りの光景である。さすがに緊張したが、おいしく食事をいただく。名前は忘れたがイクラやスモークサーモンをパンに乗せたものや、水餃子的なものをいただく。その後、久々の再会に福田さんと知人の話が弾む。その奥で山岸さんの睡魔と闘っているような表情が見える(笑)。途中でお孫さんが現れ、スマホの面白写真等を見せてくれる。運送ドライバーをしているそうで、結婚したばかりとのこと。写真を見せてもらったが、きれいな奥さんであった。その後、いったん外出し、私たちをホテルに送迎するために戻ってきてくれた。家を後にする前に玄関で記念撮影を行う。外国にこんなに親しい知人がいるのは大変にうらやましいと感じた。お孫さんの車に乗車。日産サニーでたいそう気に入っている様子であった。ライセンス等を手に記念撮影を行う。ロシアの人は本当に日本車好きである。日本も古い日本車に乗る人をもっと大切にしたほうが良いと感じた。その後、大音量の音楽が流れる車でホテルへ到着する。翌日には奥さんが働く店に招待したいとのこと。


就寝前に売店で飲み物を買うことに。お二人はコーヒー、私はビールを選択。がここで問題が!1000ルーブルしか財布に入っていない。だめもとで店員さんに伝えると何とかあちこちを駆け回ってお釣りを集めてくれた。やさしい人で本当によかった。経験上、厳しい人なら即突き返されたと思う。その後、二人が支払う際には小銭でね、的なことを言われていた気がする。すみませんでした。コーヒーは粉の入ったスティック状のもの。並々と入れられたお湯に対しては、山岸さんが選んだスティックでは物足りなかった模様。ロビーで少し雑談をして就寝へ。


6月20日「カムチャツカからウラジオへ」

いつもの朝食。


時間の都合でお孫さんの奥さんの店には行けず。興味は薄いがワールドカップを見ながら出発までの時間を過ごす。その時、部屋の電話が鳴る。恐る恐る出ると、ロシア語で何かを話している。ここで何を思ったかロシア語で何ですか?的な返答をしてしまった。その結果、再びロシア語で何かを話し始めたので、改めてイングリッシュプリーズと伝える。あ〜、英語ねといった感じで何時にチェックアウトするの的なことを言っている。このため、11時と言おうとしたところ間違って12時と言ってしまう。結果、正しかったので一安心する。定時前にアンドレイさんとお友達が到着する。今回はカルディナ1台の様だ。ここでまたアンドレイさんの悪ふざけが!なんとホテルの駐車場で発煙筒に着火。しかも正面玄関の目の前で。いつかは忘れたが、玄関前で喫煙中にホテルから15m以内は禁煙との指導を受けただけにハラハラする。時間的に警備員はおらず、特に注意は受けなかったが、本当に生きた心地がしない時間だった。しかも、終わった発煙筒は蹴飛ばされて隣のボーリング場の駐車場へ。本当にすごい人だ。


火山研究所で少しの待ち時間。アンドレイさんの友達が少しリフティング等をして遊ぶ。


空港へ到着し、玄関前でアンドレイさん達とお別れ。何ともさみしい瞬間であった。


持ち込み荷物はやはりグルグル巻きに。しかし、ウラジオの人と違い、とても親切である。スーパー等もこれほど親切なら、観光客も増えそうな。その後、山岸さんが土産に買っていたワタリガラスの置物がほしく、ホテルの土産物屋へ。値段はそんなに変わらなそう。身振り手振りで2個を購入。英語?みたいなことを言われたので適当にイエスと言う。眺めているとどうも土産につける説明文の言語を聞かれていた模様。その後、荷物検査を行う。山岸さんの荷物が引っ掛かり焦る。ピンセットと伝え問題なくクリアー。預入でも個数の問題が生じた模様で、一つを手荷物にする。


飛行機内には花嫁さんが乗ってきた。機内からは拍手が起こる。欧米的で楽しい。席はまたもや別々。これから恐怖の飲み物と食べ物タイムが来るかと思うと落ち着かない。しかし、行きよりも周りに神経を集中させて、食べ物に何の選択肢があるかを探る。どうも牛肉パスタと鶏肉?ライスらしい。意を決してパスタ!と伝えると、希望通りのものを受け取ることができた。


無事に到着。着陸時に拍手が起きたが、一般的なのか?福田さんの知り合いが迎えに来る。飛行機に花嫁は普通かと聞くと、初めて見たとのこと。






ホテルへの移動の道中、アムールトラらしき像を発見。写真を撮っていると車を止めてくれて、皆で記念撮影。正直、トラがいる森はカムチャツカの森の数倍怖いだろうと感じた。


ハイラックスでホテルへ送迎してもらう。ホテルにはまたもや花嫁さんが。前回よりも混み合っているのか、チェックインまでしばし待つ。部屋に荷物を入れて植物園へ出発する。手続きが間に合わずパスポート不備なのは少し不安であった。


植物園に着く。山岸さんの知り合いが出迎えてくれる。なんだか良い人そうで、かわいいお子さんも同行している。


偉い人の部屋へ通される。研究者に囲まれ非常に緊張する。周りすべてが研究者で自分はサラリーマン。なかなか無い光景に戸惑う。周りも何をしている人?と思っていたことだろう(笑)。断片的に聞き取れる難しい会話を聞きながら、ピザやチョコレートを食べてコーヒーを飲む。私は研究者では無いので名刺がありません、と頑張って冗談的なことを言った記憶がある。今考えると、適当に私的な名刺を準備しておけば良かったと後悔している。その後、ダニとヘビの恐怖におびえながら、園内を散策する。さまざまな植物があり、今度はじっくり時間をかけて散策したいと思った。散策後に観察園前のファストフード店でサンドウィッチとオニオンリングを買う。


山岸さんの知り合いの車でホテルへ送迎してもらう。初めての韓国車である。大陸だから選択肢も多いのだろう。福田さんの隣のお子さんは非常に人見知りのよう。何を語りかけても言葉を発することはなかった。


私の部屋で夜食を食べる。ミニバーにも慣れ、躊躇せずにビールを飲む。雑談に花を咲かせたのちに就寝する。


翌朝聞いた話だが、就寝中に私の部屋から階下に水が漏れていたため呼びに行ったが出てくれなかったとのこと。


6月21日「帰国」

朝食を注文する。ソーセージ付は時間がかかるとのことで、シンプルにパンとコーヒーを注文。なぜかソーセージ的な話が店員からされるが、注文していない旨を伝える。店員さんがすこし怖い。ここで福田さんに水漏れ疑惑の話を聞く。部屋を再確認するもその様な痕跡は無い。チェックアウト時に福田さんがホテル側に確認するよう伝えてくれて、問題無いとのことで解決。思い当たることと言えば、バスルームにある温かくなるはずの棒が冷たかったことだけである。


福田さんの知り合いに送ってもらい、無事に空港へ。


カムチャツカのグルグルを解かなかったため、そのまま搭乗手続きへ。その後、福田さん知り合いとお別れし、出発ロビーへ。ここでマトリョーシカ等を再購入する。出発ロビーでは商社の日本人男性と再会する。購入した現地携帯へのチャージ方法がわからないとのことで、福田さんと相談し、手助けすることに。チャージ機に難儀していると、福田さんがロシアの人へ助けを求めた。とても親切な女性でチャージから携帯番号の確かめ方まで丁寧に教えてくれた。 無事に出発。ここでは3人並びで快適に空の旅。 何か慣れない書類等に記入し、無事に帰国。


私のわがままに付き合ってもらいラーメンを食す。


福田さんと山岸さんを見送り、国内線へ搭乗。ロシアから帰国すると、日本のサービスが過剰な程と感じる。と同時に観光客を呼び込める更なる潜在力を感じた。


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